ストレスは発散するもの!
感情労働としての看護師

【感情労働としての看護師】

感情労働とは、仕事において「感情の抑制や緊張、忍耐などが必要な」労働を指します。簡単に言うと「精神的なストレスを感じる仕事」ということです。例えば、プログラミングや翻訳などのいわゆる「頭脳労働」が頭を使い、土木作業や農業、漁業といった「肉体労働」が体を使って疲労するのと同様に「感情」が疲弊する仕事だと言えます。

一般的にはフライトアテンダントやホテルマンなどがその代表とされます。飛行機に乗ったりホテルに泊まったりすれば分かりますが、彼らはいつもにこやかで礼儀正しく対応してくれるものです。内心ムッとしていたり腹が立つような場面でもいつもへりくだり「お客様」を立てる仕事です。同じように、看護師や介護関係者などもまた感情労働であり、患者や利用者からわがままな要求をされてもスマートに対応することが求められる仕事です。

とはいえ、およそ直接お客さんと接する対人的な仕事は全て感情労働だとも言えます。感情労働においてはたとえ相手から理不尽な要求をされたり不愉快な発言を受けても自分の感情を表に出さず接しなくてはなりません。しかし人間である以上ずっと自分の感情を抑えているということは大変なストレスです。そこでよく取り上げられるのが「マクドナルド型対応」です。マクドナルドなどのファーストフード店では店員がにこやかに対応していますが、あれは心からの対応ではなく表面的な演技にすぎません。「自分は店員、相手はお客様」という設定の舞台上で演技している役者なのです。フライトアテンダントやホテルマンでもそれは同じです。心から申し訳なく思っていなくても「ホテルマン」の役として「申し訳ございません」と低姿勢で謝ることで自分の精神的ストレスを軽減しているのです。

こうした感情労働が増えた背景には客からの要求があります。もし同じチェーンのコンビニが二軒あったとします。どちらも同じ商品を取り扱っていて値段も同じだとしても客としては店員の対応のいい方へ行きたいと思うものです。本来適当な値段で必要なものを買うだけでいい所に客としては「気持ちのいい対応」を求めます。そのために店側としても店員には「お客様」に対して気持ちのいい対応をするように要求することになるのです。

これは病院に関しても同じで、患者としてもやはり「気持ちのいい対応」をしてくれる看護師や病院を喜ぶものです。しかし、この「気持ちのいい対応」というのは単に礼儀正しい振る舞いや親切な対応だけを表すのではなく「自分のわがままを聞いてくれる」ことだと錯覚している人たちもいます。特に病院に来るのは病気や怪我で苦しんでいる患者やその家族です。普段は温厚だった人でも病気になったり怪我で不自由になればわがままを言うかもしれません。幼い子供が苦しい思いをしているのを見た親は「他の人はどうでもいいから早くうちの子を診てくれ」となどと強要してくることもあるでしょう。

看護師はこうした現場で精神的ストレスにさらされることになります。毎日多くの人を相手にするのに毎回素直な気持ちで怒ったり泣いたりしていては体がもちません。結局、看護師もホテルマンなどのようにマクドナルド型対応をしてやり過ごすしかなくなってしまいます。それが本当に正しい対応かはさておき、看護師も自分の心を守るためにある程度の「演技」ができる人でなければ向いているとは言えません。

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